国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
物語下絵料紙金光明経巻第二
ふりがな
:
ものがたりしたえりょうしこんこうみょうきょうかんだいに
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員数
:
1巻
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
鎌倉
年代
:
建久三年
西暦
:
1192
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
167
枝番
:
国宝・重文区分
:
国宝
重文指定年月日
:
1934.01.30(昭和9.01.30)
国宝指定年月日
:
2025.09.26(令和7.09.26)
追加年月日
:
所在都道府県
:
大阪府
所在地
:
大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82
保管施設の名称
:
大阪市立美術館
所有者名
:
地方独立行政法人 大阪市博物館機構
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
建久3年3月13日に没した後白河法皇(1127~92)を追善供養するために作られた美麗な写経で、現存する4巻うちの1巻である。これらの料紙には墨一色で何らかの物語絵が描かれている。この絵は彩色を施す前の段階の下絵で、吹抜屋台の内外に貴族の男女や僧侶などの姿を確認できる。これら4巻は制作経緯や時期、作画過程を把握できることから、物語絵巻ひいてはやまと絵研究の基礎資料として特に高く評価され、奥書があって首尾完存する2巻(京都国立博物館、大東急記念文庫)はすでに個別に国宝指定されている。本巻には奥書がなく、途中6紙を欠く。それでも全体の約82%が良好な状態で制作当初の姿を維持していることは貴重である。物語の場面数も現状において4巻中最多であることなど、質・量ともに既指定の国宝2巻に匹敵する1巻として、特に高く評価することができる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
建久3年3月13日に没した後白河法皇(1127~92)を追善供養するために作られた美麗な写経で、現存する4巻うちの1巻である。これらの料紙には墨一色で何らかの物語絵が描かれている。この絵は彩色を施す前の段階の下絵で、吹抜屋台の内外に貴族の男女や僧侶などの姿を確認できる。これら4巻は制作経緯や時期、作画過程を把握できることから、物語絵巻ひいてはやまと絵研究の基礎資料として特に高く評価され、奥書があって首尾完存する2巻(京都国立博物館、大東急記念文庫)はすでに個別に国宝指定されている。本巻には奥書がなく、途中6紙を欠く。それでも全体の約82%が良好な状態で制作当初の姿を維持していることは貴重である。物語の場面数も現状において4巻中最多であることなど、質・量ともに既指定の国宝2巻に匹敵する1巻として、特に高く評価することができる。
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詳細解説
何らかの物語の下絵が描かれた紙の裏面に金銀で加飾し(いったん加飾した後に絵を描き、さらに装飾を加えた可能性もある)、表面に雲母を塗布して銀界線を引き、物語の順序とは無関係に紙を継ぎ、一行十七文字で経文を墨書する。類品として「金光明経巻第三」(国宝、京都国立博物館蔵)、「金光明経巻第四残巻」(重要文化財、東京国立博物館蔵)、「般若理趣経」(国宝、大東急記念文庫蔵)の三巻と、金光明経巻第二と第四の断簡数点の現存が確認できる。全体として絵のある面を表にして使い、時には経文を書く直前に描線を補っている点が特徴的である。「金光明経巻第三」の巻末には建久三年四月一日の書写奥書がある。また「般若理趣経」の巻末には深賢による建久四年八月の識語がある。これによれば、後白河法皇(一一二七~九二)が、「□禅尼之御絵」が完成する前に崩御したため、これを流用して法皇を追善供養するための写経が作られたという。つまり本巻を含めたこれら四巻は建久三年三月十三日に後白河法皇が没した直後に作られた追善供養経の一部と判断される。その料紙装飾は美麗で、未完の絵巻が転用された珍しい遺例である点と、目的が明確な点で価値の高い遺品である。 絵画史上は、吹抜屋台に貴族の男女や僧侶、隠れ蓑を被った貴公子、物怪などを描いた、規模の大きい物語絵の下絵であることが重要である。平安・鎌倉時代初頭の絵巻の現存作例に年代の記載がない状況にあって、建久三年三月十三日に制作途中であったとわかるだけでも貴重で、絵巻の歴史上に後白河の果たした役割の大きさを勘案するならば、下絵といえどもその重要性については多言を要しない。それゆえこれら四巻はやまと絵研究の基礎資料としてすでに高く評価されており、完本で奥書のある「金光明経巻第三」と「般若理趣経」は、それぞれ単巻で国宝指定されている。 本巻には奥書がなく、第四紙と第五紙の間の六紙八十五行を欠く。それでも空白行を含む全四百六十五行のうち三百八十四行、約八割二分が巻頭から巻末まで原装を維持したまま、かつ良好な状態で伝わっていることは特記される。分離された六紙についても断簡としてすべての現存を確認できる。また、裏面の装飾に手の込んだものと簡易なものの二種あることは、金光明経については本巻だけに確認できる特徴である。さらに、紙数すなわち物語の場面数は二十一あり、現存遺品中最多である。 以上のように本作は、下絵段階の物語絵巻や、特色ある追善供養経の全体像を考究する上で欠くことのできない一巻であって、すでに国宝指定されている二巻と同等の価値を有するものであると言うことができる。