国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 木造千手観音立像
ふりがな もくぞうせんじゅかんのんりゅうぞう
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員数 1躯
種別 彫刻
日本
時代 平安
年代
西暦
作者
寸法・重量
品質・形状
ト書
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 00120
枝番 01
国宝・重文区分 国宝
重文指定年月日 1897.12.28(明治30.12.28)
国宝指定年月日 1994.06.28(平成6.06.28)
追加年月日
所在都道府県 和歌山県
所在地
保管施設の名称
所有者名 道成寺
管理団体・管理責任者名

解説文:
 道成寺の本尊千手観音像と、その脇侍として伝えられた二菩薩像である。かつては本堂の造付けの厨子三基にそれぞれ安置されていたが、現在では収蔵庫(大宝殿)に移されている。
 千手観音像は手の数を四四本とするのが変わっているほかは通例の姿で、檜材製の一木造【いちぼくづくり】、彩色【さいしき】および漆箔【しつぱく】仕上げになる。頭体幹部より台座蓮肉までを縦一材より木取りするが、頭部は髻の大半から両耳を含み三道辺までを別材製とし、背中から臀部にかけて方形に大きく欠き取って数材を当てるなど、やや変則的な構造・技法を示している。腰高で均衡のとれた立ち姿には奈良時代の彫塑像に通じる格調の高さがあり、着衣にも乾漆像を思わせるような布帛の柔軟な質感が表現されている。また面貌には平安初期密教像に似通うところがある。こうした点からみて、およそ九世紀半ば頃の製作になると推定される。
 二菩薩像はいずれも通途の一木彫成像で、本尊千手観音像と同様、蓮肉まで共木より彫出する。総じて量感を増しながらも基本的な造形は千手観音像に通じ、特に伝日光像の面貌や衣文の柔らかい質感の表現は千手像とよく似ている。また伝月光像の頬が張った面貌等は京都・仁和寺阿弥陀如来像の両脇侍像(国宝 仁和四年・八八八)に近い。両者の作風には多少の違いも認められるが、一対の像として九世紀後半に相次いで造られたものとみて大過ないであろう。日光・月光菩薩という伝称は像容からは裏付けられないが、『千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経【せんじゆせんげんかんぜおんぼさつこうだいえんまんむげだいひしんだらにきよう】』にはこの両菩薩が千手観音の効験の一端を担うことが説かれることから、同経を典拠に本尊の脇侍として造立された可能性が考えられる。三躯とも保存状態がよく、半丈六の千手像を中心とする平安初期の堂々たる三尊像が、紀伊地方屈指の古刹に伝えられた意義はまことに大きい(木造千手観音立像の図版は口絵参照)。
関連情報
    (情報の有無)
  附指定 なし
  一つ書 なし
  添付ファイル なし