国指定文化財等データベース

重要有形民俗文化財

　主情報

名称	：	北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション
ふりがな	：	ほっかいどうにぶたにおよびしゅうへんちいきのあいぬせいかつようぐこれくしょん
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員数	：	1,121点（平取町919点、個人所有202点）
種別	：	衣食住に用いられるもの
年代	：
その他参考となるべき事項	：	内訳：衣生活用具82点、食生活用具11点、住生活用具67点、生産・生業関係用具263点、交通・運搬用具47点、社会生活関係用具98点、信仰関係用具376点、民俗知識関係用具13点、芸能・遊戯関係用具22点、人の一生関係用具42点
指定番号	：	00211
指定年月日	：	2002.02.12(平成14.02.12)
追加年月日	：
指定基準１	：	（一）衣食住に用いられるもの　例えば、衣服、装身具、飲食用具、光熱用具、家具調度、住居等
指定基準２	：	（二）生産、生業に用いられるもの　例えば、農具、漁猟具、工匠用具、紡織用具、作業場等
指定基準３	：	（三）地域的特色を示すもの
所在都道府県	：	北海道
所在地	：	沙流郡平取町字二風谷55 沙流郡平取町字二風谷７９
保管施設の名称	：	平取町立二風谷アイヌ文化博物館萱野茂二風谷アイヌ資料館
所有者名	：
管理団体・管理責任者名	：	平取町

北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション

解説文：

　この資料は、北海道沙流郡平取町二風谷のアイヌ文化研究者萱野茂氏により昭和28年頃より収集された、北海道沙流川流域の二風谷およびその周辺地域で使われたアイヌの人々の生活用具の収集である。
　二風谷および沙流川流域は、アイヌの生活文化を濃厚に保有する地域で、明治25年頃まではアイヌの人々だけが居住していたという。萱野氏が本格的に収集を始めた昭和30年代は、明治生まれの古老が健在で、こうした古老の家から生活用具を収集するとともに、古老の指導によってすでに使われなくなった伝統的な生活用具類の製作も行った。
　これらの資料は、昭和47年に北海道ウタリ協会が主体となって建設した二風谷アイヌ文化資料館で保管・展示され、その後、平成4年に平取町立二風谷アイヌ文化博物館が建設されるに伴い収蔵資料の過半数が町に寄贈され、残りの資料が二風谷アイヌ文化資料館の旧施設を利用した私設の萱野茂二風谷アイヌ資料館に保管・展示されることとなった。
　現在、資料は平取町立二風谷アイヌ文化博物館に約1400点、萱野茂二風谷アイヌ資料館に約1000点と二館に分かれて保管・公開されている。しかし、これらはあくまでも一体的に保存・活用されることで本来の価値が発揮されるものであり、平取町および萱野氏とも一体的な保存・活用を望んだことから、両者の資料を合わせて指定したものである。
　本件は、この約2400点に及ぶ萱野氏収集のアイヌ関係資料から、二風谷を中心とする沙流川流域で使われ、製作法や使用法などの記録が明確な資料を整理したものである。

関連情報
		(情報の有無)
	附	なし
	添付ファイル	なし

写真一覧
北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション

写真一覧
北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション

解説文

　この資料は、北海道沙流郡平取町二風谷のアイヌ文化研究者萱野茂氏により昭和28年頃より収集された、北海道沙流川流域の二風谷およびその周辺地域で使われたアイヌの人々の生活用具の収集である。
　二風谷および沙流川流域は、アイヌの生活文化を濃厚に保有する地域で、明治25年頃まではアイヌの人々だけが居住していたという。萱野氏が本格的に収集を始めた昭和30年代は、明治生まれの古老が健在で、こうした古老の家から生活用具を収集するとともに、古老の指導によってすでに使われなくなった伝統的な生活用具類の製作も行った。
　これらの資料は、昭和47年に北海道ウタリ協会が主体となって建設した二風谷アイヌ文化資料館で保管・展示され、その後、平成4年に平取町立二風谷アイヌ文化博物館が建設されるに伴い収蔵資料の過半数が町に寄贈され、残りの資料が二風谷アイヌ文化資料館の旧施設を利用した私設の萱野茂二風谷アイヌ資料館に保管・展示されることとなった。
　現在、資料は平取町立二風谷アイヌ文化博物館に約1400点、萱野茂二風谷アイヌ資料館に約1000点と二館に分かれて保管・公開されている。しかし、これらはあくまでも一体的に保存・活用されることで本来の価値が発揮されるものであり、平取町および萱野氏とも一体的な保存・活用を望んだことから、両者の資料を合わせて指定したものである。
　本件は、この約2400点に及ぶ萱野氏収集のアイヌ関係資料から、二風谷を中心とする沙流川流域で使われ、製作法や使用法などの記録が明確な資料を整理したものである。

詳細解説▶

詳細解説

　この資料は、北海道沙流郡平取町二風谷に在住するアイヌ文化研究者の萱野茂氏によって、昭和28年（1953）頃から収集された、北海道沙流川流域の二風谷およびその周辺地域で使用されたアイヌの生活用具のコレクションである。
　二風谷および沙流川流域はアイヌの生活文化を濃厚に保有している地域として知られている。明治25年（1892）頃までの二風谷は、アイヌの人たちだけが居住していた地域であり、大正時代（1912～26）になっても葬送などはアイヌ風が主で、生活様式は変容してもアイヌ固有の信仰を保持していた人は多かったといわれている。
　アイヌの伝統的な生業は狩猟、漁撈、採集などであるが、稗や粟などを栽培する農耕も行われていた。二風谷の農業は江戸時代の記録にも残されており畑作が中心であった。
　明治２年（1869）、北海道開拓使が設置され、明治４年（1871）には耳輪や入れ墨などのアイヌの風習が禁止されて、日本語の習得が進められることとなった。これ以降、従来の狩猟や漁撈などの生業が規制され、明治18年（1885）頃には勧農政策が押し進められていった。明治32年（1899）には旧土人保護法が公布されて給与地における農耕が奨励された。二風谷で水田が作られるようになるのは明治37年（1904）頃であるが、第二次大戦後も依然として畑作が中心であった。
　農業は昭和30年代（1955～64）頃までは手作業による部分が多く、農耕馬の飼育も行われたが、しかし、農業だけでは生活が苦しく、明治時代以降は造林人夫や測量人夫などの仕事に従事する人びともみられ、大正時代（1912～26）には炭焼きや造林などの山仕事に出稼ぎする人も多かった。
　二風谷では幕末から明治時代にかけてアットゥシ（樹皮織物）の製作・販売が行われており、明治26年（1893）頃には木彫品の製作販売が行われるようになって、民芸品の販売が始まり、昭和30～40年代（1954～74）には観光ブームによってその最盛期を迎えた。
　なお、現在の平取町は米、トマト、胡瓜などの栽培・加工のほか、和牛や豚、乳牛の飼育、軽種馬の飼育など農業、畜産業が重要な産業となっており、二風谷では民芸品の製作業やサービス業などの商業と農業、畜産業などが主要な生業となっている。
　本コレクションを収集した萱野氏は、大正15年（1926）に二風谷のアイヌの家庭に生まれ、自らがアイヌ文化の伝承者であるとともに、数多くのアイヌ文化に関する研究成果を世に送り出している研究者でもある。萱野氏が本格的に収集を開始した昭和30年代（1955～64）は、まだ明治生まれの古老たちが健在であった。萱野氏はこうした古老の家を訪れて生活用具の収集を行うとともに、古老たちの指導によってすでに使われなくなった伝統的な生活用具類の製作も行ってきた。この製作の作業には妻れい子氏の協力も大きかった。れい子氏もまた二風谷に生まれ育ったアイヌの血を引く伝承者で、実生活の中でアイヌの伝統的な技術を体得し、萱野氏とともに着物やござ類を中心とした伝統的な生活用具の製作を行っている。収集品の中にはこうした伝統的な技術によって新たに製作されたものも含まれている。
　萱野氏の収集した資料は、昭和47年（1972）に北海道ウタリ協会が主体となって建設した二風谷アイヌ文化資料館で保管・展示され、昭和53年（1978）に発行された『アイヌの民具』などを通じて広く紹介されることとなった。萱野氏の収集した資料はその後、平成4年（1992）に平取町立二風谷アイヌ文化博物館が建設されるに伴って収蔵資料の過半数が町に移管されたが、残りの資料は二風谷アイヌ文化資料館の旧施設を利用した私設の萱野茂二風谷アイヌ資料館に保管・公開されることとなった。
　この結果、萱野氏が収集した資料は、現在では平取町立二風谷アイヌ文化博物館に約1400点、萱野茂二風谷アイヌ資料館に約1000点と二館に分かれて保管・公開されている。しかし、これらの資料はあくまでも一体的に活用されることによって、その本来の価値が発揮されるものであり、平取町および萱野氏とも一体的な活用を望んでいることから、両者の資料を合わせて指定の対象とすることとした。
　今回整理された資料は、この約2400点に及ぶ萱野氏収集のアイヌ関係資料のなかから、二風谷を中心とする沙流川流域で使用され、製作法や使用法などの記録が明確な資料を選んで整理したものである。
　なお、資料は、衣生活、食生活、住生活、生産・生業、交通・運搬、社会生活、信仰、民俗知識、芸能・遊戯、人の一生の10項目に分類されている。

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