国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
薩摩黒島の森林植物群落
ふりがな
:
さつまくろしまのしんりんしょくぶつぐんらく
林床にスズタケを含むアカガシ林
写真一覧▶
解説表示▶
種別1
:
天然記念物
種別2
:
時代
:
年代
:
西暦
:
面積
:
2774988.77 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
特別区分
:
指定年月日
:
2011.09.21(平成23.09.21)
特別指定年月日
:
追加年月日
:
指定基準
:
(二)代表的原始林、稀有の森林植物相
所在都道府県
:
鹿児島県
所在地(市区町村)
:
鹿児島県鹿児島郡三島村
保管施設の名称
:
所有者種別
:
所有者名
:
管理団体・管理責任者名
:
林床にスズタケを含むアカガシ林
解説文:
詳細解説
対象は海岸部から山頂部までの照葉樹を中心とした森林植物群落と海岸からの植生の垂直分布である。指定地は本土山地系の植物、トカラ列島要素の植物、南方系植物などが混在した独特の植物相を持った貴重な森林植物群落が残された地域である。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
林床にスズタケを含むアカガシ林
ハランを林床に持つシイ林
大径木の森
黒島全景
山頂部の景観
写真一覧
林床にスズタケを含むアカガシ林
写真一覧
ハランを林床に持つシイ林
写真一覧
大径木の森
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黒島全景
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山頂部の景観
解説文
対象は海岸部から山頂部までの照葉樹を中心とした森林植物群落と海岸からの植生の垂直分布である。指定地は本土山地系の植物、トカラ列島要素の植物、南方系植物などが混在した独特の植物相を持った貴重な森林植物群落が残された地域である。
詳細解説▶
詳細解説
薩摩黒島は薩摩半島と屋久島の間に位置する薩南諸島の一つで、三島村に属する島である。三島村は竹島、硫黄島、黒島の三島からなり、竹島・硫黄島は約7000年前に噴火した鬼界カルデラの北縁となる一方、黒島はトカラ火山列の旧期火山島で、第三紀中新世から第四期更新世に成立したとされる安山岩からなる古い火山島である。黒島は周囲15.2km、面積15.65k㎡で、最高峰である櫓岳が622mあり、周囲に500mを超えるピークがいくつもある急峻な地形である。気候は平均気温18°C前後で、冬季に霜が降りることは少なく、東シナ海の小島であるものの標高が高く、雲霧帯を形成していることが予想される。このように温暖な海洋性気候で乾燥の影響も少ないことから、常緑広葉樹林である照葉樹林がよく発達している。山頂部にはアカガシを中心としたスダジイを含む自然林がよく発達している。一部では海岸線まで自然植生が残存しており、海岸から山頂までの垂直分布が見られる。 指定対象は海岸部から山頂部までの照葉樹林を中心とした森林植物群落と海岸からの植生の垂直分布である。指定地域は最高峰の櫓岳の北側の林道付近から、山頂部を含み南斜面の海岸線までである。成立の古い火山帯で強い浸食の影響を受けており、島全体が海食崖に囲まれお椀を伏せたような形となっている。地形的には海から断崖部、緩斜面部、山岳部に区分できる。 海岸沿いの断崖部は表土がなく安山岩が裸出して無植生になっているところも多いが、岩の割れ目に根を張った風衝低木林を形成しているマルバニッケイ群落が島の外周に沿って点線状に成立している。崖地の崩れたところや風の強いところは低木林を形成できず、ハチジョウススキ群落がみられる。牧畜のため野焼き等を行っていたところでは、リュウキュウチク群落が緩斜面の縁まで成立しているが、断崖部へは侵入していない。また、断崖地で窪地になっているところにはビロウの優占するビロウ群落が成立している。 斜面部・山岳部の森林植物群落としては、アカガシ群落、スダジイ群落、マテバシイ群落、タブノキ群落などがある。山岳部のほとんどは、林床にスズタケやハラン、トカラカンアオイが生育するアカガシやスダジイを中心とする群落で、標高500mを越えるあたりからアカガシの被度が高くなりアカガシ群落を形成している。山頂部や岩場では強風のために、トカライヌツゲやアラゲサクラツツジ、マルバサツキを含む山頂性の風衝低木林が形成されている。また南東部の尾根斜面は乾燥しやすく、マテバシイ群落が小規模ながらみられる。標高450m以上にある森林は群落高12mが以下となり主にアカガシガ優占するが、岩場ではアラゲサクラツツジが、山頂部ではスズタケがそれぞれ優占している。 アカガシは屋久島を南限とするが、屋久島を除く薩南諸島には分布せず、このような小面積の島でアカガシが分布することは全国的にも非常に希なことである。このアカガシ林の林床には、中国原産と考えられていたハランが密生しており、この地域が原産と考えられるようになった。また、スズタケは本島が南限地となっている。これだけでなく、黒島は本土の山地系の植物、トカラ列島要素の植物、南方系植物などが混在した独特の植物相を持っている。このような特異な植物相の森林が、海岸線付近から山頂部までの残されており、貴重な森林植物群落が残された地域である。 このように、対象地は独特の植物相により構成される森林植物群落であり、海岸地線から山頂部までの植生の垂直分布も良好に残されており、学術的価値は高い。よって、天然記念物に指定し保護を図るものである。