国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
史跡名勝天然記念物
主情報
名称
:
鵜戸
ふりがな
:
うど
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種別1
:
名勝
種別2
:
時代
:
明治~現代
年代
:
西暦
:
面積
:
1588634.88 m
2
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
特別区分
:
指定年月日
:
2017.10.13(平成29.10.13)
特別指定年月日
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追加年月日
:
指定基準
:
八.砂丘、砂嘴(さし)、海浜、島嶼
所在都道府県
:
宮崎県
所在地(市区町村)
:
宮崎県日南市
保管施設の名称
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所有者種別
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所有者名
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管理団体・管理責任者名
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解説文:
詳細解説
日南市の海岸及び山稜から構成される景勝地。日向神話の舞台として知られ,東側海岸部の隆起海食洞に鵜戸神宮本殿が建つ。また,南側の海岸部には「鬼の洗濯板」と呼ばれる鵜(う)戸(ど)千(せん)畳(じょう)敷(じき)奇岩が広がる。
関連情報
(情報の有無)
指定等後に行った措置
なし
添付ファイル
なし
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解説文
日南市の海岸及び山稜から構成される景勝地。日向神話の舞台として知られ,東側海岸部の隆起海食洞に鵜戸神宮本殿が建つ。また,南側の海岸部には「鬼の洗濯板」と呼ばれる鵜(う)戸(ど)千(せん)畳(じょう)敷(じき)奇岩が広がる。
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詳細解説
鵜(う)戸(ど)は、宮崎県の南部、日南市北部の海岸沿いに位置する。西に急峻な山稜を背負い、東は入り組んだ海岸線とその先に広がる日向灘から成る。宮崎市青島から日南市風(かぜ)田(た)にかけての日南海岸には、宮崎層群の中でも古い時代の地層が露出しており、それらは砂岩と泥岩が繰り返す互層から構成される。そして、それらが波の浸食を受けて形成された波食棚や海食洞、ノッチが随所に見られる。鵜(う)戸崎(どざき)の南面は、今から約1200万年前から600万年前にかけて堆積した砂岩と泥岩の互層が傾いて日向灘に面しており、長い年月のうちに波に浸食され波食棚になった。この波食棚は鵜(う)戸(ど)千(せん)畳(じょう)敷(じき)(「鬼の洗濯板」)と呼ばれている。隆起海食洞については、鸕(う)鷀(が)草(や)葺不合(ふきあえずの)尊(みこと)を主祭神とする鵜戸神宮の境内に最大のものがあり、約1,000㎡の洞内に正徳元年(1711)改築の本殿が建つ。また、鵜戸神宮の北方に位置する波(なみ)切(きり)神社の洞穴は、現在の汀線付近に存在するノッチである。 この特異な地形と、陸路が非常に脆弱で常に外と隔絶されていた環境から、鵜戸は古来より修験の場となった。 鵜戸神宮は南九州を代表する神社で、古来より日向国内外の厚い信仰を受けてきた。鵜戸神宮の社伝には、延暦23年(804)に社殿を再興したとあり、近世には飫肥藩主伊東氏の庇護のもとで造替や改修が行われた。明治維新までは鵜戸神宮地にある仁王護国寺を仁和寺が所管し、神門に至る八(はっ)丁(ちょう)坂(ざか)参道の両脇に18の寺坊が並んでいたが、それらの寺院は廃仏毀釈で廃絶し、現在は八丁坂の石段と寺坊跡の石垣が残るだけである。 神事、祭事も、江戸時代までは修験道式の修法が行われていたが、明治以降は神道式にあらたまった。 また、鵜戸一帯は海幸彦と山幸彦の神話の舞台になっており、前述した鵜戸神宮本殿が建つ隆起海食洞、伝(でん)玉(たま)依(より)姫(ひめ)陵(りょう)(宮浦古墳)や速(はや)日(ひの)峯(みね)陵(りょう)(主祭神陵)、鵜戸神宮御神田、亀(かめ)石(いし)、お乳(ちち)岩(いわ)などに関する伝承が知られている。鵜戸神宮と関連する日向神話は、潮(うしお)嶽(だけ)神社(日南市北郷町)、榎(よ)原(わら)神社(日南市南郷町)にも伝えられている。 元禄期からは、青島から鵜戸まで七浦七峠の難所含みの日南海岸を往復した新郎新婦が、シャンシャン馬という鈴を付けた鞍に赤い布を敷いた馬に花嫁を乗せて、結婚を神に報告する古俗があり、民謡の「シャンシャン馬道中唄」の題材ともなったが、現在は宮崎神宮大祭の催し物にその名残が残るのみとなっている。 鵜戸は古来より信仰の地であったが、それだけではなく、景勝地としても多くの人が訪れており、大正4年に発刊された『宮嵜大観』や昭和10年刊行の『南日向大観』に写真が掲載されている。『南日向大観』には、「毎年旧暦二月初卯の日を以て例祭日とす 遠近の参拝者数万に及び特に航海漁業関係者の尊信厚く全国より四季を通じ参拝観光の男女跡を絶たず 付近の風光悉く雄大壮絶にして海岸一帯は奇岩怪石の疊々として連なるあり」とその様子が記されている。 山稜と、波食棚、海食洞、ノッチ等がみられる海岸部、海岸部の東に広がる海域は、景勝地であるだけでなく、古くから信仰の場ともなってきた。特徴的な地形及び地質によって形成された風致景観の観賞上の価値は高く、名勝に指定して保護を図るものである。